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B01 大型実験装置による暗黒物質の直接探索 

研究目的

 研究の目的は,宇宙の物質の大半を占めるにもかかわらず,未発見である暗黒物質を,大型検 出器XMASS を用いて探索し,その正体を明らかにすることである.
    暗黒物質は,銀河の形成を 促す重要な役割を果たしたと考えられており,暗黒物質の質量や反応断面積等を実験的に明ら かにすることによって,宇宙の謎をひも解く研究の一端を担うことを究極の目的としている.
    暗黒物質は非常に重要なテーマとして熾烈な国際競争となっているが,特に軽い暗黒物質(5~ 10GeV)の発見を主張する実験グループ,そのような暗黒物質は無いとするグループが複数あり, 白熱した状況である.本研究では,他実験を大きく凌駕する高統計でその領域を観測し,その 問題に決着を付ける.また,本研究では,それより重い暗黒物質の探索について,他実験が否 定している領域の1 部を,他実験が見ていない電子散乱事象も含めた相補的な追試を行う.
    XMASS 実験装置は神岡地下に設置された,大型の液体キセノンシンチレータであり,2013 年10 月にバックグランド削減のための改修を終えたばかりである.本研究ではこの生まれ変わった XMASS で上記研究を遂行すると同時に,重い暗黒物質(数10~100GeV 以上)の探索で,世界最 大,最高感度を目指し,表面放射線源をコントロールした次世代XMASS の開発・研究を行う.

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研究計画

 現在のXMASS による暗黒物質探索を推進するため,低閾値で安定的なデータ取得を継続する. これと並行して,計算機シミュレーションによって,検出器表面で生じるバックグランド事象 の起源を定量的に理解し,またそのようなバックグランド事象を解析的に取り除く手法を開発 する.特に,検出器表面にある凹凸のため,シンチレーション光の一部しか検出されない点が 問題となるため,ジオメトリを詳細に再現したシミュレーションでこの強敵に挑む.
    本研究では極低レベルの表面放射線を測定するため,高感度のα線,β線カウンタ,小型液体 キセノン検出器を開発し,これらを用いて表面放射線を線種毎に定量的に確認し,シミュレー ションと比較する.この比較によってバックグランドをよく理解し,暗黒物質信号のデータ品 質を向上させ,暗黒物質を高感度で検出する.
    また,本研究では,次世代のXMASS を開発・研究する.この際には現在のXMASS の表面に対す る知見を活かし,そのようなバックグランドをコントロールした検出器を開発する.表面の放 射線の起源は,空気中のラドンが表面に付着し,その娘放射性核種が残留していると考えられ るが,それらの効果的な洗浄法,及び洗浄後の保存法を,α線,β線カウンタを用いて調べる.
    これらの成果を元に,小型のプロトタイプを作成し,表面放射線を抑制することが出来ること を実証する.さらに実際に次世代大型検出器の設計を行う.この設計では,表面の放射性不純 物を取り除き,その状態が保持できる設計とし,それをモックアップで実際に検証し,次世代 の検出器が直ぐにも実現可能な状態とする.


メンバー

  • 研究代表者: 岸本 康宏(東京大学 宇宙線研究所)
  • 研究分担者: 小川 洋(東京大学 宇宙線研究所) 梁 炳守(東京大学 宇宙線研究所) 小林 兼好(東京大学 宇宙線研究所)
  • 連携研究者: 安部 航(東京大学 宇宙線研究所) 鈴木 洋一郎(東京大学 Kavli IPMU)

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