施設・装置

▶ スーパークリーン施設概要 【Super clean facility】
神岡極稀現象研究拠点は東北大学の地下実験施設にあります。極低放射能環境下で極稀事象探索を行う地下素粒子・原子核実験コミュニティ全体の成長を促進する共同研究のための実験室や世界一の清浄度を誇るISO-14644クラス1のスーパークリーンルームなどがあり、それらに超純水・純空気を提供するための製造装置も整備されています。以下に個々の施設や装置について紹介します。

超純空気製造装置 【Clean air system】
空気中に含まれる放射性希ガスであるラドンとその子孫核種は極稀事象探索において観測の障害となる深刻な雑音信号をつくります。坑内はラドン濃度が高いため坑外から毎時1000m3で空気を東北大学の地下実験施設各地に供給しています。カーネル機械室ではこの坑外空気からさらにラドンを除去するために活性炭やフィルターを通した超純空気を毎時200m3製造しています。この純空気は共同実験室やスーパークリーンルームに供給することが可能です。さらにラドン濃度を低減するための新技術開発も行っています。

超純水製造装置 【Pure water system】
カーネル機械室では既設の純水製造装置で製造した純水をもとに、超純水 (電気抵抗率 18.2 MΩ・cm)を製造する超純水製造装置が設置されています。最大で毎時2m3で超純水を共同実験室やスーパークリーンルームに供給することが可能です。現在はKamLAND高性能化のため検出器部材などの洗浄に活用しています。

共同実験室(カーネル実験室) 【Experimental space】
奥行き17m、幅6m、高さ4.1mの実験スペースで、スーパークリーンルームに隣接しています。超純水や純空気、窒素の供給ラインが備わっています。現在はKamLAND高性能化のための検出器部材の準備に用いられています。高性能化後は次世代極稀事象探索に向けた検出器極低放射能化のための分析装置や、検出技術開発のためのプロトタイプ検出器の開発・運用などの共同研究場所として利用されます。

スーパークリーンルーム 【Super clean room】
奥行き9.6m、幅4.3m、高さ2.4mの空間を有するISO-14644 クラス1の清浄度のスーパークリーンルームです。超純水や純空気、窒素の供給ラインも備わっており、KamLAND高性能化のための検出器部材の製作・洗浄・梱包の場所として活用しています。KamLAND高性能化後は結晶育成や高純度金属精錬などの次世代極稀事象探索のための研究開発・技術革新のための場所として共同利用研究に供されます
▶ クリーン実験室1 【Clean experimental space 1】
奥行き5m、幅5.5m、高さ3.5mの実験スペースで、小規模な極稀現象探索プロジェクトの共同研究活動を支援しています。この実験室では坑外空気・窒素ガスの供給が可能です。2025年度は筑波大学の2重ベータ崩壊探索実験であるPIKACHU実験、徳島大学の暗黒物質探索実験であるPICOLON実験が研究を行っているほか、カーネルの共同利用に供する高純度ゲルマニウム検出器も設置されています。
▶ クリーン実験室2 CryoLab 【Clean experimental space 2】
この実験室では東北大学ニュートリノ科学研究センター(RCNS)と量子場計測システム国際拠点(WPI-QUP)の共同研究協定に基づき、協力してQUPの希釈冷凍機が設置されています。神岡極稀現象研究拠点(KERNEL)では希釈冷凍機を核とした神岡クライオラボを立ち上げました。希釈冷凍機は量子コンピュータや量子センサーなどに必要不可欠な100mK以下の極低温環境を作り出す装置です。この神岡クライオラボの立ち上げにより、量子センサーを宇宙線などのバックグラウンドの極めて少ない状態で動かすことが可能です。
東北大学RCNSの極低放射能技術とQUPの量子センサー技術を活かして、軽い暗黒物質などの新しい極稀事象探索を進める準備をしています。
Link URL:
• 神岡クライオラボについて
• QUPのホームページ


▶ 簡易LowBG実験タンク 【LowBG experimental tank】
直径4m、高さ4mのステンレス製50m3円柱タンクで、KamLAND高性能化に向けた高性能光電子増倍管(PMT)と集光ミラーの試験場所とて使用されていました。KamLAND高性能化後は小型プロジェクト用として共同研究利用に供されます。

▶ 液体シンチレータ純化装置 【Purification system】
奥行き23m、幅7m、高さ6mの空間に蒸留設備が設置されています。 KamLAND検出器で用いられる液体シンチレータは蒸留法を用いて鉛210などの放射性不純物の除去を行いました。この純化装置ではカムランドから取り出した液体シンチレータを沸点が低い順番にプソイドクメン(1, 2, 4-トリメチルベンゼン)、ドデカン、PPO (発光物質)と、圧力と温度を監視しながら蒸留し不純物を除去します。精製された各成分はもう一度液体シンチレータに調合しなおし、純化装置内部から湧き出した放射性希ガスであるラドンを除去するための窒素ガスによるパージを経てKamLAND検出器に送液されます。
現在はKamLAND高性能化に向けてより安定した蒸留操作が出来るように準備を整えています。

▶ キセノン装置 【Xenon system】
2重ベータ崩壊探索実験であるKamLAND-Zen実験で用いるキセノン136濃縮ガスの取り扱い装置です。キセノンガスの液体シンチレータへの溶解や脱気、KamLAND検出器へのキセノン含有液体シンチレータの送液や受け入れ、キセノンガスの保管などが可能です。液体シンチレータ中の残留ガス濃度を分析するためのガスクロマトグラフィーや高感度液体密度計なども備わっています。

▶ カムランド実験装置 【KamLAND detector】
KamLAND検出器は1000トンの高純度液体シンチレータを用いたニュートリノ観測装置です (カムランドの詳しい説明や研究成果はこちら)。 液体シンチレータ1gあたりのウラン238は5.0×10-18g, トリウム232は1.3x10-17gという世界最高レベルの低放射能環境を達成しています。 検出器中心にキセノン含有液体シンチレータを満たしたミニバルーンを導入し、2重ベータ崩壊探索を行ったKamLAND-Zen実験では、KamLAND検出器は大容量アクティブシールドとして活用されています。カーネルはKamLAND高性能化のための極低放射能環境整備、検出器部材の洗浄など検出器極低放射能化に大きく貢献しています。

