文部科学省 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 領域番号 6105 Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas

地下から解き明かす宇宙の歴史と物質の進化

計画研究 B01 高感度大型装置で推進する暗黒物質直接探索

 本計画研究は、国際的な活動のもと、大型で高感度な検出器による暗黒物質探索を行う。暗黒物質は本新学術研究のテーマである、宇宙と物質の歴史において重要な役割を果たしており、素粒子物理学・宇宙物理学の中でも喫緊の課題である。

 本計画研究の中心的な活動である XENONnT 実験では、約 6ton の液体キセノンをターゲットとした検出器を 2019 年から稼働させ、暗黒物質がキセノン原子核を反跳する現象を捉える。これまでよりも1 桁程感度を向上させて暗黒物質の発見を狙うが、検出器素材中に含まれる放射性不純物からの中性子を暗黒物質と見間違う可能性がある。中性子事象識別の鍵となるのが、計画研究 C01 と連携することで可能となる、神岡地下で培われた「ガドリニウム水」の技術である。これにより、XENONnT 検出器の予定感度である反応断面積 2×10-48cm2 を達成する。

 さらに、計画研究 D01 と連携しラドン低減に貢献し、検出器のさらなる高感度化を果たす。E01 班との連携により、理論の予言する複数種類の暗黒物質の探索を行い、大発見を目指す。また、XENONnT 検出器のキセノンは 136Xe を 500kg ほど含み、エネルギー分解能も高いため、 ニュートリノの出ない二重ベータ崩壊探索実験も推進する。それにより A01, 02 班との連携を図る。

 既存の XMASS 実験によるデータは、2013 年からおよそ 5 年間にわたる。過去にも多種多様な暗黒物質探索(低質量 WIMP, 季節変動、KK アクシオン、非弾性散乱等)が行われ、多数の論文が出版されている。本新学術においても、全データを用い、さらにはあらたな較正データに基づいた探索も行う。データ管理と論文の出版に努める。

 また、XENONnT 実験で暗黒物質の兆候がみられた場合、将来より高感度な検出器による暗黒物質の性質の解明も必要となる。そのために本計画研究においても新たな技術開発に基づいた低 BG 化や赤外線発光を用いた粒子種同定の評価を行う。

メンバー

[代表]

森山茂栄 Shigetaka, MORIYAMA
東京大学 教授 宇宙素粒子実験
統括

[分担]
山下雅樹 Masaki, YAMASHITA
東京大学 特任准教授 宇宙素粒子実験
XENONnT、装置開発

安部航 Ko, ABE
東京大学 助教 宇宙素粒子実験
XENONnT、XMASS

風間慎吾 Shingo, KAZAMA
名古屋大学高等研究院 特任助教 素粒子実験
XENONnT、光検出器開発

中村正吾 Shogo, NAKAMURA
横浜国立大学 准教授 宇宙素粒子実験
検出器開発, XMASS
パンフレット[PDF]

はじめに

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