文部科学省 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 領域番号 6105 Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas

地下から解き明かす宇宙の歴史と物質の進化

計画研究 C01 超新星背景ニュートリノの高感度観測でせまる宇宙星形成の歴史

 宇宙は 138 億年前にビッグバンによって生まれたが、その際に生まれた元素は高々水素とヘリウムのみであり、我々の周りに存在する多種多様な元素は、恒星内部での核融合反応、そして一部の星の超新星爆発やその後の中性子星の連星合体などによって生成されたと考えられている。観測可能な宇宙ではこれまで 1018 回重力崩壊型超新星爆発をおこしてきたと考えられており、これらの星の歴史を探ることは宇宙での元素合成の歴史を解きあかす鍵となる。

 これまで光学観測に基づく星形成率(Star FormationRate(SFR))理論から予想される超新星発生頻度と実際の超新星爆発の観測結果には有意な違いがあり原因がまだ解明されていない。その原因を究明するため「超新星背景ニュートリノ」の「直接」観測が必須である。現在、スーパーカミオカンデに硫酸ガドリニウムを加え、反電子ニュートリノに対する感度を高め超新星背景ニュートリノを探索する SK-Gd が始まろうとしている。

 本研究では計画研究 D01 と密接に連携し検出器を一段と高性能化・低放射能化することにより、感度を向上させた超新星背景ニュートリノ観測を行う。具体的にはガドリニウム水純化装置の高性能化及び低放射能化を進め、低エネルギーでのバックグラウンド削減と透過率の安定化をはかり、より高濃度の硫酸ガドリニウムを導入できるようにする。

 また、2019 年度より再開される T2K 実験から得られるデータや大気ニュートリノデータを詳細に解析し、超新星背景ニュートリノの最大のバックグラウンドとなる中性カレント事象の排除手法を確立する。さらには検出器応答を一層理解するため、超新星背景ニュートリノのエネルギーレンジである20-30MeV でのエネルギー較正装置として電子線形加速器を加速器科学専門家の参画の下、新たに導入する。本研究によってスーパーカミオカンデによる超新星背景ニュートリノ観測を加速させ、 計画研究 E02 と連携して宇宙の星形成の歴史とそこで重要なニュートリノの役割を明らかにする。

メンバー

[代表]

関谷洋之 Hiroyuki, SEKIYA
東京大学 准教授 宇宙素粒子実験
統括及び水システム高性能化

[分担]
竹内康雄 Yasuo, TAKEUCHI
神戸大学 教授 素粒子実験
水システム低放射能化、ラドン測定

伊藤慎太郎 Shintaro, ITO
岡山大学 研究員 素粒子実験
ガドリニウム高濃度・低放射能化

鈴木良一 Ryouichi, SUZUKI
産業技術総合研究所 主席研究員 加速器科学
エネルギー較正

高久雄一 Yuichi, TAKAKU
環境科学技術研究所 研究部長 環境科学
ガドリニウム定量分析
パンフレット[PDF]

はじめに

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