文部科学省 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 領域番号 6105 Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas

地下から解き明かす宇宙の歴史と物質の進化

計画研究 D01 極低放射能技術の最先端宇宙素粒子研究への応用

 宇宙の歴史を解き明かす様々な地下素粒子実験は、極低放射能技術に立脚している。本計画研究では、これまでに神岡地下で培われてきた極低放射能技術を飛躍的に発展させ、各計画研究が推進する研究に応用することで、期間内及び次世代の研究を大きく進展させる。

 具体的には、(1)環境中性子の測定、(2)極微量放射性不純物の測定及び除去、(3)イオン発光の測定、(4)高感度スクリーニングシステムの運用、(5)データベースを用いた測定結果の国内外への発信、に取り組む。

 (1)では、計画研究 B01 および B02 と連携し、低バックグラウンドの中性子測定器を開発・製作し、国内外の地下実験サイト(神岡地下やグランサッソ(イタリア)など)で環境中性子フラックスの長期測定を行う。

 (2)では、希ガス不純物であるラドンとクリプトンの高感度計測および除去を行う技術を開発し、計画研究 A01、B01、B02 に提供する。計画研究 C01 班との連携では、硫酸ガドリニウム溶液中のラドンを低減する技術を提供する。また、硫酸ガドリニウム溶液中ラドンを常時モニターするための、高感度ラドン測定器を開発・製作・提供する。

 (3)では、計画研究 C01 班のバックグラウンドになりうるが未だ定量的に理解されていない Gd3+イオン発光事象を測定する。

 (4)では、検出器を較正する候補の各素材からの放射能を、「マイクロベクレル」の感度で測定し、極低放射能の素材のみを選別する技術を実現する。特に、先行の新学術領域研究「地下素核研究」で蓄積した低バックグラウンド技術を活かし、世界最高感度を持つゲルマニウム検出器を開発・製作し、この検出器を用いたスクリーニングシステムを各計画研究に提供し、研究推進をサポートする。計画研究 C01 班との連携では、硫酸ガドリニウム中の 226Ra を測定し、1kg あたり 500μBq 以下という要求の評価を行う。

 (5)では、これまでに構築したデータベースの改修・運用を行い、上記の(1-4)で測定した結果を、国内外に発信する。

メンバー

[代表]

南野彰宏 Akihiro, MINAMINO
横浜国立大学 准教授 素粒子実験
全体の総括、中性子測定

[分担]
田中雅士 Masashi, TANAKA
早稲田大学 准教授 素粒子実験
中性子測定

池田一得 Motoyasu, IKEDA
東京大学 助教 素粒子実験
ラドン測定

竹田敦 Atsushi, TAKEDA
東京大学 助教 素粒子実験
ラドン測定

岩田圭弘 Yoshihiro, IWATA
東京大学 助教 レーザー分光
クリプトン測定、Gd 発光測定

伊藤主税 Chikara, ITO
日本原子力研究開発機構 主任研究員 レーザー分光
クリプトン測定、Gd 発光測定

市村晃一 Koichi, ICHIMURA
東京大学 特任助教 素粒子実験
スクリーニングシステムの開発
パンフレット[PDF]

はじめに

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