文部科学省 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 領域番号 6105 Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas

地下から解き明かす宇宙の歴史と物質の進化

計画研究 B02 方向に感度をもった暗黒物質直接探

 本計画研究は、方向に感度を持つ暗黒物質探索実験を行う。暗黒物質は宇宙の歴史において 銀河や星の形成に重要な役割を果たしており、その正体解明は本新学術領域にとって重要な要素である。

 計画研究 B01 が大質量検出器による初の暗黒物質直接検出を目指すのに対して、本計画研究では「方向に感度を持つ」という特徴的な手法により、暗黒物質の直接検出の確実な証拠、さらには正体解明を目指した開発及び観測を推進する。暗黒物質への感度向上の決め手となる低バックグラウンド技術に関し ては、計画研究 D01 と綿密な連携をとり効率的な開発を進める。計画研究 B01 の結果及び計画研究 E01 の理論進展を鑑み、目標とする暗黒物質の性質に応じた開発を行う。

 本計画研究はガス検出器を用いた NEWAGE 実験及び固体検出器(原子核乾板)の NEWS-dm 実験の 2 つの実験の協力によって推進する。NEWAGE は時間分解能をもつ三次元飛跡検出という特徴を、NEWS-dm は大質量化が可能という特徴を持ち、それぞれ小質量・大質量の暗黒物質によい感度を持つ。

 NEWAGE 実験は世界をリードする三次元飛跡検出器を発展させ、低バックグラウウンド(1/10 倍)・大容積(5 倍以上) 化した検出器による暗黒物質観測を行い、DAMA 実験の領域を方向に感度を持つ手法で探索開始する。NEWS-dm では、赤道儀に検出器を搭載し、原子核乾板としては初の暗黒物質探索実験を行う。NEWAGE は暗黒物質神岡施設を基盤とした国際協力実験 CYGNUS への発展を画しており、国内を拠点とする暗黒物質探索を強力に推進する体制を構築する。NEW-dm は名古屋大学が世界に誇る原子核乾板技術を武器として、イタリア・グランサッソ研究施設での国際協力実験を牽引する。

 また、計画研究 B01 に代表される大質量検出器による暗黒物質直接探索は、太陽ニュートリノによる事象がバックグラウンドになる(ニュートリノフロア)ことが知られている。質量の軽い暗黒物質は今後数年でこうしたバックグラウンドに探索が制限されると考えられているが、方向に感度を持つ手法を用いることでこうしたバックグラウンドを超えた探索が可能となる。本計画研究は、ニュートリノフロアを超えた暗黒物質直接探索を 可能にするための検出器の低閾値化も合わせて行う。

メンバー

[代表]

身内賢太朗 Kentaro, MIUCHI
神戸大学 准教授 宇宙素粒子実験
統括及びガス検出器

[分担]
中竜大 Tatsuhiro, NAKA
東邦大学 講師 素粒子実験
原子核乾板による暗黒物質探索

小川洋 Hiroshi, OGAWA
日本大学 助手 素粒子実験
ガス中からの放射性不純物除去
パンフレット[PDF]

はじめに

ページのトップへ戻る