文部科学省 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 領域番号 6105 Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas

地下から解き明かす宇宙の歴史と物質の進化

計画研究 E02 超新星ニュートリノと核物理・宇宙化学進化の理論研究

 本計画研究は、SK-Gd(計画研究 C01) や KamLAND(計画研究 A01) などで観測が期待される超新星ニュートリノ、特に原始中性子星からのニュートリノや超新星背景ニュートリノに関連し、状態方程式や状態方程式とコンシステントなニュートリノ反応率の研究への拡張,また現在はインプットとして使っているだけの宇宙化学進化との総合的な研究への発展を目指すものである。

 本新学術領域の柱の一つである低エネルギーニュートリノ観測の重要な源:重力崩壊型超新星の研究に関して世界最高水準の三次元ニュートリノ輸送計算を行っている山田を中心に、非球対称性を考慮した爆発機構の研究とともに放出されるニュートリノや残される原始中性子星のモデルを求める。

 また、現実的な核力モデルに基づいた超新星物質の状態方程式を世界に先駆けて数値テーブル化して数値シミュレーションを行えるようにした鷹野を中心に、その状態方程式に対応するニュートリノ反応率を計算し、それらを用いた原始中性子星の冷却・ニュートリノ放出計算を鈴木が担当する。

 また中里を中心に、残る状態方程式の不定性の範囲をカバーするようなパラメーター化した状態方程式を用いて超新星ニュートリノの計算を行い、超新星爆発時・原始中性子星冷却時のニュートリノや超新星背景ニュートリノの観測との関連を系統的に調べる。

 また、協力研究者の辻本とともに、銀河タイプによる化学進化の違いと超新星背景ニュートリノとの関連を調べ、化学進化と超新星背景ニュートリノの観測を総合的に使った宇宙史解明の可能性を詳しく調べる。

 また、MESA などによる恒星進化計算を使った超新星親星の密度分布から予想される中性子星/ブラックホール数比にも焦点を当て、連星中性子星合体イベントによるウラン・トリウム生成量と銀河の化学進化、地球ニュートリノ、超新星背景ニュートリノの相互関係を議論する。

 さらに、計画研究 E01 と連携して、超新星爆発の銀河形成への影響を評価、暗黒物質の銀河中での分布についての理論研究を進める。さらに、さまざまな状態方程式を用いた原始中性子星や中性子星の冷却シミュレーションを行い、axion などへの制限も議論する。

メンバー

[代表]

鈴木英之 Hideyuki, SUZUKI
東京理科大学 教授 理論宇宙物理学
総括、原始中性子星の冷却計算

[分担]
山田章一 Shoichi, YAMADA
早稲田大学 教授 理論宇宙物理学
超新星爆発シミュレーション

鷹野正利 Msatoshi, TAKANO
早稲田大学 教授 理論原子核物理
状態方程式とニュートリノ反応

中里健一郎 Ken'ichiro, NAKAZATO
九州大学 助教 理論宇宙物理学
超新星背景ニュートリノ計算

辻本拓司 Takuji, TSUJIMOTO
国立天文台 助教 理論天文学
化学進化計算
パンフレット[PDF]

はじめに

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