P01 : 東野 聡
(pdf):低質量暗黒物質探索に向けた陰イオンピクセルガスTPC開発
NEWAGEをはじめとした方向感度を持つ暗黒物質探索実験は、ガスTPCを用いて原子核反跳の飛跡を再構成することで、ニュートリノフロアと呼ばれる感度制限を超えた低質量暗黒物質探索を行うことを目指している。一方、低質量暗黒物質由来の信号においては反跳原子核の飛跡が短く、検出器の読み出し粒度より短い飛跡の再構成ができない問題があった。この問題を打開すべく、微細ピッチのピクセル読み出し型ガスTPCの開発進行と同時に、ドリフト電荷の拡散の少ない陰イオンガスであるSF6を用いた研究も並行して実施している。本発表では、ピクセルガスTPCの開発状況と、小型TPCを用いたSF6ガスの動作検証状況を報告する。
P02 : 佐藤 和樹
(pdf):シンチレータの発光スペクトル測定のためのチェレンコフ光を用いた分光測光系の強度較正
暗黒物質探索では液体キセノンが、ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊の探索ではCaF2がシンチレータとしてよく使用されている。これらの特性を詳しく調べることは重要であり、当研究室では冷却CCDカメラと分光器を組み合わせた高精度な測光系により、発光の精密測定を行っている。高精度な測定のためには系の較正が不可欠であり、強度較正にチェレンコフ光を用いることを考案している。この較正方法の現状について発表する。
P03 : 伊藤 由紘
(pdf):フッ化カルシウムの真空紫外領域における発光スペクトル測定
フッ化カルシウム(CaF2)はニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊探索のシンチレータとして用いられており、紫外領域で発光することが知られている。近年では、真空紫外領域でも発光する可能性が示唆されており、この領域での特性を調べることは重要である。そこで、当研究室では瀬谷-波岡型の分光器と冷却CCDカメラを用いた測光系を用いて高精度な測定を目指し、さらにはCaF2を低温まで冷却することで発光の変化を調査することを進めている。本講演では、この測定の現状について発表する。
P04 : 島田 大輝
(pdf):マイクロストリップ電極を用いた一相式液体キセノンTPCの開発
液体キセノンをシンチレータとした暗黒物質直接探索実験では、暗黒物質がキセノン原子核と弾性散乱する稀事象を検出するために、キセノン原子の電離と発光を測定して反跳エネルギーを再構成する。現行の二相式液体キセノンTPCでは電離電子由来の信号検出に必要な内部電場の形成をワイヤー電極が担っているが、金属ワイヤーの自重や電磁気力により、たわみや断線といった問題が発生している。そこで、本研究では石英ガラス表面にマイクロストリップという幅数μmの金属パターンを成膜して、たわみや断線の心配がない安定した電極を作成し、液面管理が必要ない一相式液体キセノン検出器を開発している。本ポスターでは、電極設計における内部電場最適化のための有限要素法に基づく電界シミュレーションの結果と、マイクロストリップ電極の試作過程について報告を行う。
P05 : 千葉 健太郎
(pdf):KamLAND2-Zenのための有機物材料の不純物量評価
KamLAND-Zen実験は136Xeを溶解した液体シンチレータを封入したバルーンを用
いた0nbb探索実験である。このKamLAND-Zen実験の将来計画であるKamLAND2-Zen
実験では、バルーン起源のバックグラウンド事象低減のために発光性のPENフィ
ルムのバルーン作成やバルーン内の発光がバルーンを透過するために波長変換剤
Bis-MSBの導入やされている。これらの有機材料に含まれる放射性不純物量を評
価する必要がある。今回はその現状を報告する。
P06 : 大森 匠
(pdf):PIKACHU実験Phase1のための準備と解析
PIKACHU実験は未発見である160Gdの二重ベータ(2β)崩壊をGAGG(Ce:Gd3Al2Ga3O12)結晶を用いて探索する. 2023年に高純度GAGGを開発し, そのバックグラウンド(BG)量から先行研究の半減期下限値を上回る探索感度を見込んだ.
現在は結晶内部の放射性不純物およびPMT由来のBGモデルと160Gdの2β崩壊モデルの開発を進めている. 本講演ではそれに加えて, 年内開始予定の高純度GAGGによる長期探索(Phase1実験)に向けた準備(DAQ, 温度ログシステムの構築など)の現状について報告する。
P07 : 身内 賢太朗
(pdf):ガス飛跡検出器による方向感度を持つ暗黒物質直接探索
計画研究B03のガス飛跡検出器による方向感度を持つ暗黒物質直接探索について発表します。
(代理講演は共同研究者 東野氏)
P08 : 亀井 雄斗
(pdf):YSZ基板を用いた超伝導検出器の開発
力学インダクタンス検出器(KID)は超伝導体薄膜で構成された信号読み出し線と共振器からなる超伝導検出器である。天文分野での開発が進められてきたが、素粒子物理学への応用として基板への粒子入射によって生じたフォノンを介して粒子検出を行う手法が研究されている。本講演では、ジルコニア94の二重ベータ崩壊を探索するために基板材料にイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いたKIDの開発について現状を報告する。
P09 : Kumsut Pantiwa
(pdf):Calcium Isotope Separation with Crown Ether via LLE and SLE method: Cool Plasma ICP-MS Analysis
Chemical isotope separation for calcium has been studied by multi-stage liquid-liquid extraction (LLE) and solid-liquid extraction (SLE) using DC18C6 crown ether. The distribution coefficient and separation factor are higher when 12M HCl is present: 0.332±0.004 and 1.006±0.002, respectively. In addition, the reaction efficiency (η) was higher in the SLE than in the LLE method.
P10 : Bui Tuan Khai
(pdf):Light Dark Matter search with Superconducting Sensor in Kamioka
The direct detection of Dark Matter (DM) has gained significant interest. Our research focuses on DM in the mass range below 1 GeV. We use advanced superconducting sensor with an eV threshold and low background techniques. Our design is compatible with various target-sensor combinations to adapt different models of low-mass DM. This poster overviews our project and current status.
P11 : Rittirong Anawat
(pdf):Development of Laser Isotope Separation (LIS) of 48Ca for the search of neutrinoless double beta decay by CANDLES
The aim of this research project is to produce a significant amount of 48Ca using laser isotope separation (LIS) for a study on neutrinoless double beta decay led by CANDLES. The project involves developing a large-scale production chamber, a stable atomic beam generator, enhancing the laser system’s power capacity, setting up a collection system, and establishing a monitoring and control system. Progress has been made in deflecting the target isotope using a blue light laser diode. The next stage is to achieve a stable production system using one of the six atomic beam generators with a 2 W laser power capacity. The initial goal is to achieve a production rate of 2 mol/year. The recent status will be presented.
P12 : 丸藤 祐仁
(pdf):地球ニュートリノ、宇宙観測技術、元素分析を用いた海の将来の研究
海洋プレートに取り込まれマントルまで到達した水は、地熱の働きにより地上に戻り、再び海洋に到達する。この循環は地熱の減少により徐々に停止し、定性的には地上から海洋が失われることになる。その一方で、地上に戻ってくる水の量についてはさまざまな仮定の元に推測されているため、定量的に明らかになっているとは言い難い。地球の海がいつ失われるかを明らかにするため、現在の水循環量を測定するための手法について考察し、現在検討を進めている研究手法について紹介する。
P13 : 生井 凌太
(pdf):大型ガスチェンバーを用いた方向感度を持つ暗黒物質直接探索のためのモジュール型検出器性能評価
方向感度を持つ暗黒物質の直接探索実験であるNEWAGEでは、感度向上に向けてモジュール検出器搭載型の大型ガスTPCを開発している。これに使用するモジュール型検出器を開発し、試験用小型チェンバーを用いて検出器の性能評価を行った。本発表では、この結果について報告する。
P14 : Amo Haruta
(pdf):機械学習を用いた低エネルギー側のノイズの除去
我々PICOLONプロジェクトでは,NaI(TI)シンチレーション検出器を用いて宇宙暗黒物質の探索を行っている。そして,宇宙暗黒物質の有力な候補として考えられているWIMPsによる季節変動の観測を報告したDAMA/LIBRAグループが使用しているNaI結晶に匹敵する超高純度なNaI(TI)結晶を作成する方法を確立した。そのうえで,今現在問題となっているのは,WIMPsの信号があると考えられている低エネルギー側にノイズ信号が多く存在していることである。私の研究では,それらの低エネルギー側に存在するノイズを,機械学習を用いて除去することに挑戦している。本発表では,現在までに行っているランダムフォレストとXGBoostを用いた機械学習によるノイズ除去の結果,その精度,そして今後の展望について報告する。
P15 : Kotera Kenta
(pdf):長期測定におけるPICOLON高純度NaI検出器の現状
PICOLON(Pure Inorganic Crystal Observatory for LOw-energy Neut(ra)lino)では高純度NaI(Tl)結晶を用いた宇宙暗黒物質を行っている。NaI(Tl)結晶は結晶中のバックグラウンドを低減することが課題となっていたが、2020年に世界最高水準の低バックグラウンドNaI(Tl)結晶を開発した。今回は同様の純化手法にて作成した新結晶のバックグラウンドデータについて長期に渡り取得したデータにおけるバックグラウンド解析の現状について報告する。
P16 : 島村 蓮
(pdf):地下実験室に到来する宇宙線ミューオンフラックスのシミュレーション間の系統的評価
ニュートリノ観測や暗黒物質探索などの稀事象素粒子原子核実験は、宇宙線由来のバックグラウンドを低減するために、地下実験室で実施されている。地下実験室ではミューオン到来数やその方向分布を見積もるために、複数のシミュレーションが利用されている。本研究では、MUSICとMUTEという2つのミューオン伝搬シミュレーションと国土地理院の標高データを用いて、国内の地下実験施設でのミューオンフラックスを系統的に調査を行っている。本講演では、MUSICとMUTEの宇宙線ミューオンの到来頻度の差異について議論する。
P17 : Nishijima Shogo
(pdf):U, Th精密測定のためのクリーンブース作成と添加回収実験
CANDLES実験では、 ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊の半減期を測定することでニュートリノの質量の解明に取り組んでいる。この実験で使用する二重ベータ崩壊核は⁴⁸Caであり、Caを含む化合物であるCaF₂をシンチレータとして用いる。また、ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊は稀な現象であり、バックグラウンド事象に埋もれてしまい確認することができない。そこで、私の研究では、CANDLES実験で使用するCaF₂結晶の純化として、CaF₂からU、Th系列などのバックグラウンド源となる元素を取り除くことを目的としている。ここで、前回のCaF₂の純化実験では、徳島大学でCaF₂結晶を粉砕し、筑波大学で分解、分離、分析を行ったが、粉砕作業で汚染が確認されたため、徳島大学にクリーンブースを作成した。この発表では、作成したクリーンブースと、これからの展望としてU、Thの添加回収実験について報告する。
P18 : 中川 闘暉
(pdf):暗黒物質アクシオン探索実験用共振空洞パラメータ測定システムの開発
宇宙のエネルギーの約27%を占めると考えられている暗黒物質の有力候補の1つにアクシオンがある。アクシオンは強い相互作用において、本来非保存であるCP対称性が高い精度で保存されている実験事実を説明するために導入された素粒子であり、磁場と相互作用してその質量に対応した周波数の光子に転換する性質を持つ。共振空洞の共振周波数を掃引することによりアクシオン由来の信号を探索する。
探索実験を進めていくにあたり、共振周波数の掃引ごとに測定が必要なパラメータとして、共振周波数、共振空洞のQ値、アンテナとの結合(coupling)があげられる。このうち結合については必要に応じて調整も行う。
本ポスターでは、ベクトルネットワークアナライザを利用したパラメータ測定システム開発の現状と、低温・強磁場下で、ある共振周波数に固定して行った探索実験の共振空洞パラメータの測定結果について報告する。
P19 : 鈴木 啓司
(pdf):MIRACLUE実験におけるArガスTPCの改良と性能評価
原子核反跳に伴い、低確率で電子が放出される現象のことをMigdal効果という。この効果が観測できれば、低エネルギーの原子核反跳事象をとらえることが可能となり、低質量の暗黒物質探索に対する感度が向上する。このMigdal効果を観測するため、MIRACLUE実験ではガスTPCの開発・改良に取り組んでいる。本発表では、ArガスTPCの改良の現状について報告する。
P20 : 曽根 貴将
(pdf):銀ゼオライトを用いた空気中ラドン除去性能の研究
ラドンは放射性の貴ガスであり、地下実験共通のバックグラウンドであるため、その削減は必須である。一方、銀ゼオライトが非常に高い貴ガス吸着特性を持つことが近年判明した。そこで銀ゼオライトを地下実験でのラドン除去に応用可能か調べるため、ラドン吸着性能評価装置を構築し、それを用いて銀ゼオライトの空気中ラドン除去性能の評価を始めた。本ポスターではその途中経過を報告する。
P21 : 見上 万葉
(pdf):KamiokaCryoLabにおける環境放射線測定
暗黒物質探索やニュートリノ実験などの極低放射能環境での地下実験において、環境放射線によるバックグラウンドの推定は非常に重要である。特に暗黒物質の直接探索を行う際には、中性子は大きなバックグラウンドとなるため中性子のフラックスを推定することは必要不可欠である。本発表では、神岡坑内での環境放射線の測定やその解析結果について報告する。
P22 : 鷲見 貴生
(pdf):地下実験における重力勾配雑音
将来の重力波観測や地球物理観測において問題となりうる、地下実験施設(主に神岡)における重力勾配雑音の研究について報告する
P23 : 財前 真理
(pdf):ニュートリノ反応から誘発されるニュートリノ集団振動
超新星爆発の中心部ではニュートリノ同士の相互作用が卓越し、その結果ニュートリノ集団振動によりそのフレーバーが入れ替わる現象が起きる。
近年、このような極限環境で集団振動の可能性についての議論が盛んに行われ、幅広い領域でフレーバー変換を引き起こす不安定性が存在することがわかった。
その中でも最近注目を浴びているのがcollisional flavor instability (CFI) で、これは自己相互作用項に加えて、物質との相互作用項によってフレーバーが不安定化されるものである。
線形安定性解析により、CFIは他の不安定性と比べて比較的密度の高く、ニュートリノにとってより不透明な領域で生じることが判明した。
本発表では、このCFIについて具体的なエネルギー分布を与え、その非線形進化を見ることでどのようにニュートリノ分布への変化がもたらされていくかを示す。
P24 : 陳 夏姫
(pdf):暗黒物質直接探索における背景事象削減のための極低内部放射能原子核乾板の開発
独自開発を進める超微粒子原子核乾板は、サブミクロンの粒子飛跡を検出可能な世界で最も高い空間分解能をもつ放射線飛跡検出器である。自然放射線による背景事象低減のためにイタリア・グランサッソ国立研究所の地下1000mで超微粒子原子核乾板を用いた方向感度を持った暗黒物質の直接探索実験、NEWSdm実験が推進されている。しかし、原子核乾板に混入する放射性同位体からの放射性崩壊は地下環境やシールドで排除することのできない支配的な背景事象である。その中でも原子核乾板に使用されるゼラチンに由来するC-14からのベータ線が支配的である。このゼラチンをPVAに代表される人工的な高分子に置き換えることでC-14による背景事象を1/1000未満にでき、暗黒物質探索における背景事象が劇的に低減することが期待される。本講演では原子核乾板のゼラチン部分を合成高分子に置き換えた原子核乾板の開発状況について報告する。
P25 : 多田 智昭
(pdf):スーパーカミオカンデ実験における宇宙線ミューオンの電荷比とスピン偏極度の測定
宇宙線ミューオンは一次宇宙線と大気原子核の相互作用により生成された中間子の崩壊によって生成される。その際、宇宙線ミューオンと対に大気ニュートリノが生成されるため、宇宙線ミューオンを測定することによって大気ニュートリノの予測シミュレーションの精度向上のための有益な情報を与えることができると考えられている。特に、宇宙線ミューオンの電荷比は大気ニュートリノのニュートリノと反ニュートリノ比と相関があり、スピン偏極度は宇宙線ミューオンと大気ニュートリノの親中間子の割合に相関がある。そこで、スーパーカミオカンデでは宇宙線ミューオンの崩壊電子事象を用いて地上で1TeV程度のエネルギーを持つ宇宙線ミューオンの電荷比とスピン偏極度を測定した。このポスターでは、その測定結果や他実験との比較、予測シミュレーションとの比較について報告する。
P26 : 丸藤(寺島) 亜寿紗
(pdf):超伝導転移端センサーを用いたスズ112の2重電子捕獲反応探索手法の研究
スズ112の2重電子捕獲反応(DEC)探索では、カドミウムの励起状態に遷移するモードの脱励起ガンマ線を検出する手法が取られてきた。一方スズを吸収体として用い、スズ中のエネルギー吸収を超伝導素子(ガンマTES)で検出する手法ではDEC反応で生じるX線やオージェ電子を高検出効率、高分解能で検出でき、カドミウムの基底状態に遷移するニュートリノを放出するDECモードにも探索感度を有する。本発表では産総研で取得したガンマTES測定データを用いた探索手法の実証と検出器の性能評価の現状について報告する。
P27 : 井戸 悠生
(pdf):鉱物飛跡検出器を用いた未知宇宙線事象探索のための研究開発
鉱物飛跡検出器は億年スケールという観測時間によって探索量を稼ぐ固体飛跡検出器である。
鉱物飛跡検出器を用いたヒトスケールを超えた観測は、超新星爆発等に伴い生成される超重核や、非常に重い暗黒物質などの探索を可能とする。
一方で、これら検出器の性能は70, 80年代に盛んに議論されたものの、今日では下火である。本研究は現代の技術を用いて再度鉱物飛跡検出器の性能評価を行うことで、今後サンプルリターン等がより活発になる宇宙開発領域へ新たな価値を提供することが期待される。
技術確立段階である現状においては、検出器として白雲母およびカンラン石に対して、O(2)GeV~MeV領域における粒子の照射、および鉱物飛跡検出器の応答を検証しており、本講演ではこれらの進捗状況について報告する。
P28 : 篠田 兼伍
(pdf):後期中性子星熱進化のための超新星フォールバック計算
超新星におけるフォールバックは、爆発後の電磁波やニュートリノの放出源として、また中性子星やその周りの円盤形成、それに伴う発光現象の起源として考えられてきた。特に興味深いのは、水素外層とヘリウムコアの境界で生じた逆行衝撃波が中心天体に落ち込む現象である。この結果降着率は著しく増大し、中心天体である中性子星が再加熱され、中性子星の後期熱進化に影響を与えると考えられている。しかし数値計算において、従来の境界条件では逆行衝撃波が落ち込む際に非物理的な反射波が発生すると報告されている (Gabler et al.2020)。この問題を解決するために、本研究では大質量星の中心から表面までを全て計算領域に含んだ計算を行う。本発表では流体シミュレーションコード Athena++ (Stone et al. 2020) を用いて、新しい手法を用いたフォールバック降着量と反射波の振る舞いについて報告する。
P29 : 谷口 宙
(pdf):ニュートリノ質量、ダークマター、バリオン数非対称性を同時に説明するTeVスケールの模型とCPの破れ
青木-兼村-瀬戸模型(AKS模型)は、ニュートリノ質量、暗黒物質、バリオン数非対称性を説明しうる新物理模型である。 オリジナルの論文ではニュートリノ振動とダークマターに加えてBAUの説明に必要な一次相転移に関する解析がなされた一方で、簡単のためにCPの破れは無視され生成バリオン数は計算されなかった。2022年には青木、榎本、兼村がAKS模型を拡張し、3現象を同時に説明するベンチマークポイントを発見したが、パラメータが多く、Flavor Changing Neutral Current(FCNC)はad hocな仮定で減殺するなど問題があった。本講演ではよりシンプルでFCNCも対称性を用いて自然に抑制するオリジナルのAKS模型にCPの破れを導入し、電気双極子モーメント、ニュートリノ振動、ダークマターの残存量および直接探索、レプトンフレーバーの破れの実験からの制限などを全て満たせることを示す。