P01 : 高井 崚聖
(pdf):Quantum entanglement of ions for light dark matter detection
Paulイオントラップを用いて、アクシオン暗黒物質や暗黒光子暗黒物質などの軽い暗黒物質の検出手法について述べる。トラップされたイオンの振動モードの基底状態と第一励起状態から構成される量子ビットが、共鳴励起により弱い電場の効果的なセンサーとして機能することを示す。その結果としてneV程度の質量をもつ暗黒物質によって誘起される弱い電場を探索することができる。さらにN個のイオンのエンタングルメント状態が励起率をN^2倍に高めることができることを示す。光子と暗黒物質の結合に対する感度は、これまで未開拓のパラメータ空間に達する可能性がある。
P02 : 岩崎 愛一
(pdf):共鳴管と量子ホール状態の温度上昇
共鳴管内で、強磁場による量子ホール状態を作り、アクシオンによるマイクロ波を吸収させる。共鳴が起こると、量子ホール状態を含む試料の温度上昇がある。磁場の強さ5T、GaAsで出来た直方体試料の温度1mK、その厚さ2μmとすると、アクシオン質量10^(-5)eVの、QCDアクシオン(KSVZモデル)では、試料の温度が2.3mKまで上昇する。(低温では、半導体の熱容量、熱伝導率はフォノンで決まることを仮定。)この値は、マイクロ波で得られた熱が、熱浴に逃げる速さを10msと仮定して得られる。熱の散逸速度がさらに遅いと、さらなる温度上昇がある。アクシオンのよるマイクロ波の吸収と熱の散逸を考慮した値である。この温度上昇を観測して、共鳴点を見つけることで、アクシオンの質量が検出される。
P03 : 内田 裕之
(pdf):ニュートリノをトリガーとするX線による超新星「待ち受け観測」の実現
本研究はX線天文衛星を利用した「史上初の超新星待ち受け観測」の実現を目指している。超新星爆発の瞬間、X 線フラックスのピークを伴うショックブレークアウトが予想される。その光度変動は、死に瀕した星の内部状態を推測する、現状でほぼ唯一の手段である。この待ち受け観測を実現するには、超新星ニュートリノアラートを受けて、直ちにX線衛星を指向する観測枠組みが必要である。ところが、現行のどのような衛星もそのような運用を想定していない。そこで本研究は、2023年打ち上げのXRISMなど、利用可能なX線衛星を用いて超新星ニュートリノをトリガーとした半自動的な観測体制を確立する。本発表では、現在の超新星X線研究の概要を紹介するとともに、ニュートリノ連携の進捗について報告する。
P04 : Mori Masamitsu
(pdf):重いアクシオンを考えた場合の超新星爆発の長時間計算
超新星爆発は、そのエネルギーのほとんどをニュートリノとして放出して、銀河系内で爆発した場合は1分以上にわたり、数千個以上のニュートリノイベントが日本の巨大水チェレンコフ型ニュートリノ検出器スーパーカミオカンデ(SK)で観測されることが予想される。また、超新星爆発は高温高密度環境であるため、アクシオンなどの標準模型を越えた粒子も生成されている可能性が予測されている。本ポスターでは、超新星爆発シミュレーションにアクシオンの効果を入れてニュートリノ放射がどのように変わるかを計算し、それがSKでどのように観測されるかを議論する。
P05 : 小幡 捺
(pdf):KamLAND2に向けた大型バルーン製作における湿度条件最適化
KamLANDは神岡鉱山の地下1000mにある1kトンの液体シンチレーターを有するニュートリノ検出器であり、現在は集光効率をより向上したKamLAND2実験を2027年度中に開始予定である。このKamLAND2実験開始に向けて液体シンチレータを内包する直径13mのバルーンフィルムも再製作する。実績あるKamLANDのバルーンと同素材・同デザインを採用する予定だが、検出器由来のバッググラウンド低減を目指し新たにカバーフィルムの導入による製作・導入時の汚染を防ぐことを検討している。またバルーンフィルム表面の素材であるEVOHは高い吸湿性を有しており、静電気を防ぐ目的で想定される高湿度環境でその性質が変化してしまうことが危惧される。そこで本研究では水分がバルーンフィルムに与える影響を調べ、カバーフィルム付きバルーンの製作時の湿度への要求値を評価する。またバルーン製作過程の包括的な発表も行う。
P06 : 小寺 健太
(pdf):高純度NaI(Tl)を用いたPICOLON宇宙暗黒物質探索 2025#2
PICOLON実験は高純度NaI(Tl)結晶を用いて宇宙暗黒物質の候補であるWIMPsの探索を行っている。NaI(Tl)を標的核とした宇宙暗黒物質探索実験として、イタリアのグラン・サッソ国立研究所にて250 kgのNaI(Tl)結晶を用いたDAMA/LIBRA実験が行われている。現在、DAMA/LIBRAグループは自身の検出器外の原因に起因する未知の季節変動を報告している。DAMA/LIBRA実験の完全な検証のためには、DAMA/LIBRAと同等の低バックグラウンドNaI(Tl)結晶を用いて、同様のセットアップでの実験を行うことが必要不可欠である。PICOLON実験ではNaI(Tl)結晶を標的核とする宇宙暗黒物質探索実験の中で唯一、DAMA/LIBRAと同水準のバックグラウンドを達成した。本報告では現状での季節変動を中心とした宇宙暗黒物質探索の現状と今後の展望について報告する。
P07 : 尾崎 弦太
(pdf):シフト電流で切り開くアクシオン暗黒物質探索
シフト電流は、光励起による電子の空間的変位が駆動する電流であり、次世代の光発電・光検出器として物性物理学で注目されている。本研究は、このシフト電流を暗黒物質探索へ応用できないかというアイデアのもと立ち上がった研究である。本ポスターでは、アクシオン暗黒物質を仮定し、静磁場のもとで変換されたアクシオン由来光子がWeyl 半金属 TaAs 内でシフト電流を発生させる機構について議論する。
P08 : 財前 真理
(pdf):ニュートリノ反応率に依存するニュートリノ集団振動の振る舞い
超新星爆発の中心部ではニュートリノ同士の相互作用が卓越し、その結果ニュートリノ集団振動によりそのフレーバーが入れ替わる現象が起きる。近年、こうした極限環境で集団振動が起きる可能性についての議論が盛んに行われ、collisional flavor instability (CFI) と呼ばれる背景物質との相互作用を通して生じる不安性が存在することが見つかった。線形安定性解析により、このCFIは他の不安定性と比べて比較的密度の高く、ニュートリノにとってより不透明な領域で生じることが判明した。
本発表では、与えるニュートリノ反応率を変えた際にどのようにこのCFIによるフレーバー変換が呼応していくかに注目し、実際の超新星ダイナミクスへもたらされる影響について議論する。
P09 : 村田 勝寛
(pdf):光赤外線天文学大学間連携OISTERの観測ネットワーク
光赤外線天文学大学間連携 OISTER(Optical and Infrared Synergetic Telescopes for Education and Research)は、日本の9大学と国立天文台による連携プログラムである。13台の中小口径の可視光・赤外線望遠鏡で構成された連携観測網により、突発天体・現象に即応した多波長・多モード連携観測を実現するとともに、各大学では困難な高度な人材育成を行うプロジェクトである。2022年度から開始された第3期では、マルチメッセンジャー天文学や時間領域天文学を含む幅広い研究を推進している。本発表では、OISTERの連携観測ネットワークについて紹介する。
P10 : 横山 達哉
(pdf):レプトジェネシスとニュートリノレス二重ベータ崩壊
タイプIシーソー機構に基づく熱的レプトジェネシスを再考し、将来のニュートリノ実験からの制約について議論する。特に、ニュートリノレス二重ベータ崩壊からの影響に注目する。フレーバー効果を記述できる密度行列方程式を数値的に解くことで、レプトジェネシスに必要な右巻きニュートリノの質量の下限を導き、それを最も軽いニュートリノ質量とニュートリノレス二重ベータ崩壊に関わるニュートリノの有効マヨラナ質量からなる平面上の等高線として示す。さらに、その等高線の射影を取ることで、右巻きニュートリノ質量の下限を有効マヨラナ質量の関数として図示する。
P11 : 天羽 悠太
(pdf):深層学習を用いたシンチレータのノイズ除去のモデル構築
PICOLON実験では、超高純度なNaI(Tl)シンチレータを用いて宇宙暗黒物質の有力な候補の1つであるWIMPsの探索を行っている。しかし、WIMPsの信号があると期待される低エネルギー領域にはシンチレーションによる事象以外の信号であるノイズ信号が多く存在しているという問題がある。これらのノイズ信号は、信号の時定数の差を用いる従来法では十分に除去することができなかった。そこで、ノイズ信号を除去する深層学習によるモデルの構築を行った。本発表では、その性能評価やデータセットの作成などの現状について報告する。
P12 : 竹内 敦人
(pdf):超伝導検出器を用いたSn-112の二重電子捕獲反応の探索
超伝導検出器を用いたSn-112の二重電子捕獲反応の探索
P13 : 赤穗 龍一郎
(pdf):ニュートリノ集団振動が超新星ダイナミクスに及ぼす影響
重力崩壊型超新星ダイナミクスはニュートリノによって支配されており、詳細なニュートリノ物理を組み込んだシミュレーションによる理論予測が必要である。中でもその効果が明らかではないのが、ニュートリノ自己相互作用による集団振動である。それをシミュレーションに組み込む困難な点で、集団振動はニュートリノ角度分布に依存し、さらに時間スケールがニュートリノ物質相互作用よりも短いという点がある。先行研究では近似的ニュートリノ輸送を用いた計算に簡易的に集団振動の影響を組み込んだものしかなく、その効果はまだわかっていない。本研究では完全なニュートリノ運動量空間分布を解くボルツマン輻射流体計算にBhatnagar-Gross-Krook (BGK)サブグリッドモデルを適用し、集団振動が超新星に及ぼす影響を調査した。
P14 : 石舘 正太郎
(pdf):PIKACHU実験 ~高純度GAGG結晶の性能評価~
PIKACHU実験は,大型Ce:Gd3Al2Ga3O12(GAGG)単結晶を用いて未発見である160Gdの二重ベータ崩壊(2β)を探索する実験であり, 0ν2β 探索感度更新と 2ν2β 発見を目指している. ウクライナで行われた160Gdの2β探索ではGd2SiO5(GSO)シンチレータが用いられ, 世界最高感度を示しているが, 結晶内のU/Th系列不純物からのα線バックグラウンド(BG)が感度を制限していることが報告されている. PIKACHU実験ではGAGG単結晶のBG量削減を目指しており, 2023年には純化した原料を用いてチョクラルスキー法で一桁純度の高い結晶育成に成功した. 今回は大型化したGAGG結晶のBG量と性能評価について報告する.
P15 : 石上 元直
(pdf):PIKACHU実験における40K背景事象低減に向けた試み
PIKACHU実験はGAGG結晶を用いた160Gd二重ベータ崩壊探索実験である。
PIKACHU実験では2023年に神岡の地下実験室でバックグラウンド(以下BG)測定のデータを取得した。その結果、238U上流と40KのBGが多量であることが分かった。
238Uは結晶内部の不純物に由来することが分かっており、238UのBG低減が直近の課題となっている。
40KからのBG低減も将来的な課題となるが、結晶内部に存在する40KのBGの評価に際して、結晶外部の環境に存在する40KによるBGがその見積もりに悪影響を与えている。
そこでGEANT4を用いたシミュレーションを行い、結晶外部の40Kの1.46 MeVγ線BGを評価した。また、外部由来40KのBG低減の試みとして、当該BGの低減が見込める検出器の性能を評価し、PIKACHU実験への導入を検討した。
P16 : 堀口 大輔
(pdf):機械学習を用いた重力崩壊型超新星爆発の方向決定
重力崩壊型超新星爆発は太陽の10倍以上の質量をもつ恒星が起こす超新星爆発である。この爆発で放出されるニュートリノは、スーパーカミオカンデ内の水分子と逆ベータ崩壊や電子散乱反応を起こし、陽電子や電子として観測される。そのうち電子散乱反応で生成される電子は爆発の方向と相関を持つ。この特性に着目し、観測される粒子の運動方向分布を再現して機械学習で電子散乱反応を検出することで、超新星爆発の方向決定精度を評価した。
P17 : 小貫 良行
(pdf):SOI X線ピクセル検出器を用いた太陽アクシオン探索実験ISAIの準備状況
アクシオンは強いCP問題の解決策として提唱された未発見粒子であり、暗黒物質の有力候補である。これを探索するべく、我々はISAI(Investigating Solar Axion by Iron-57)実験を準備している。本実験では、太陽中心からのアクシオンを地上の質量数57の鉄同位体で吸収し、変換されたγ線をX線SOI検出器XRPIXで捉える。本ポスター発表では、実験の準備状況について報告する。
P18 : Aoyama shinya
(pdf):銀ゼオライトを用いた貴ガス中のラドン吸着性能
Rn-222(ラドン)は放射性の貴ガスであり、地下実験における代表的なバックグラウンド源である。そのため、ラドンの除去は高感度測定を行う上で不可欠である。近年、銀ゼオライトが空気中のキセノン(Xe)および、ラドンに対して高い吸着性能を持つことが報告されている。神戸大学での先行研究により、銀ゼオライト8Ag-FER-Bは、空気中では常温活性炭の約1000倍のラドン吸着性能を有することがわかった。
一方で、暗黒物質の直接探索においてはArやXeなどの貴ガスが使われており、貴ガス中でのラドン除去が高感度測定において不可欠である。
そのため、本研究では、我々が昨年度製作した新型6Lラドン検出器を用いて、銀ゼオライト8Ag-FER-Bの貴ガス(Ar及びXe)中におけるラドン吸着性能の評価を初めて行った。
本発表では、これらの結果を報告する。
P19 : 西島 渉悟
(pdf):次世代CANDLES実験に向けたCaF₂合成
CANDLESでは、二重ベータ崩壊核である⁴⁸Caの0νββによる信号を検出するため、CaF₂シンチレータを用いている。しかし、⁴⁸Caの天然存在比は0.187 %ととても低いため、これを克服するためにCANDLESでは⁴⁸Caの同位体濃縮を試みている。これに伴い、濃縮により得られたCa化合物からCaF₂を合成する必要がある。CaF₂の一般的な合成方法にはフッ素源としてHFを用いる手法が知られているが、HFは極めて有害であり実験室での取り扱いには高い危険性が伴う。そのため、本研究ではまず安全かつ実用的なCaF₂合成法の確立を目指し、フッ素源としてCsF及びNaFを用いて安全なCaF₂の合成を行いSEM-EDSを用いて分析した。本発表では、その結果及び今後の展望について報告する。
P20 : 川崎 海斗
(pdf):原子核電荷密度分布の評価に向けたミュオニックカルシウム原子のX線分光測定
原子核半径は核構造の理解において重要な物理量の一つであり、陽子の電荷密度分布と強い相関をもつ。一般に、原子核半径は中性子数の増加に伴い、増大する傾向がある。しかし、二重魔法数核であるカルシウム同位体40Ca、48Caの半径はほぼ等しいという特異な性質を示す。我々はミュオニックカルシウム原子のミュオン特性X線分光測定により、カルシウム原子核の電荷密度分布の評価を目指す。
J-PARC MLFのH1ビームラインにてCaF2標的を用いて40Caのミュオン特性X線の測定を行った。先行研究より精密なエネルギー測定を行うため、超伝導転移端センサという放射線検出器を用いた。これは超伝導の性質を利用したマイクロカロリメータであり、半導体検出機に比べて1~2桁優れたエネルギー分解能を有する。
本ポスターではミュオン特性X線の測定結果と、現時点での解析結果を紹介する。
P21 : 日野原 伸生
(pdf):DFT-QRPAによるニュートリノレス二重ベータ崩壊原子核行列要素計算
ニュートリノレス二重ベータ崩壊の原子核行列要素の理論値は不定性が大きく、ニュートリノの質量の情報を引き出す上で精度の良い計算が求められる。原子核密度汎関数理論(DFT)は核種の質量領域に制限なく適用可能な原子核構造理論であり、中性子ー陽子間のペアリングを取り入れたDFTの乱雑位相近似(QRPA)計算によりベータ崩壊などの荷電交換過程を大域的に説明できる。DFT-QRPAによるニュートリノレス二重ベータ崩壊の原子核行列要素計算に向けた現状を報告する。
P22 : 浦野 壮規
(pdf):AXEL 実験 : 新型キセノンガスシンチレーション検出器の研究開発
AXEL 実験は高圧キセノンガス TPC を用いたニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊(0ν2β) 探索実験である。0ν2β 探索能力実証用である AXEL 180 L 試作機においては、 z 位置の再構成に用いるイベントの発生時刻の決定を VUV-PMT を用いたシンチレーション光の直接検出により行っている。しかし、現状検出光量が小さい状態にある。将来計画であるトンスケールの TPC 検出器における世界最高感度 0ν2β 探索に向けて、シンチレーション光の検出光量を大幅に引き上げ、検出器のエネルギー分解能を上げることが要求される。現在、受光面積の拡大・光の波長変換と捕獲というコンセプトのもと、新型シンチレーション検出器の研究開発を行っており、性能評価の段階にある。本ポスターでは、新型シンチレーション検出器の概要と、高圧キセノンガス中での性能評価の途中
経過について報告する。
P23 : 前川 雄音
(pdf):スーパーカミオカンデにおける酸素原子核ミューオン捕獲による放射性同位体の分岐比測定
スーパーカミオカンデに飛来する負ミューオンの一部は水分子に含まれる酸素原子核に捕獲され放射性同位体が生成される。本研究では、2008年から2022年までの観測期間で、SK検出器内部で静止した負ミューオンと電子事象のペアを探索することで放射性同位体の崩壊事象を探索した。崩壊事象の観測データとシミュレーションを比較することで、放射性同位体の生成数を算出し、捕獲された負ミューオン数と比較することで16N, 15C,12Bおよび13Bへの分岐比を測定した。
本ポスターでは、酸素原子核から16Nの分岐比を世界最高精度で測定し、さらに15C,12Bおよび13Bへの分岐比を初めて測定した結果について報告する。
(共同研究者:中野佑樹(富山大)、西村康宏(慶應大))
P24 : 鈴木 啓司
(pdf):MIRACLUE実験におけるミグダル効果観測に向けた将来計画
暗黒物質が宇宙に存在することは、さまざまな観測結果から確実視されているが、その正体は不明である。暗黒物質の候補のひとつにWIMPがあり、標的原子核との弾性散乱を観測する直接探索が進められているものの、未だ発見には至っていない。このような背景から、近年ではミグダル効果を用いた暗黒物質探索手法が注目されている。ミグダル効果とは、原子核が突然動いたときに低確率で電離・励起が生じる現象である。通常の原子核反跳に加えて電子や特性X線のエネルギーを検出できるため、反跳エネルギーが小さい低質量の暗黒物質に対する探索感度が向上すると期待されている。ところが、原子核反跳に伴うミグダル効果は実験的な観測事例がない。そこで、MIRACLUE実験では中性子ビーム照射実験によるミグダル効果の検証を目指している。本発表では、ミグダル効果を初観測するための将来計画と、現時点での実施状況について述べる。
P25 : 東野 聡
(pdf):NEWAGE: 暗黒物質探索地下実験の現状
方向感度を持つ暗黒物質探索実験であるNEWAGEにおける、神岡坑内での地下実験の現状について報告する。
P26 : 吉田 純也
(pdf):NanoTerasuが地下稀事象の世界を照らす?-放射光X線計測の活用の可能性-
素粒子物理・原子核物理・放射光科学へと展開した筆者の経験をもとに、放射光施設NanoTerasuの地下稀事象研究への活用の可能性を紹介する。具体的には下記の2つ。(1)地下に何億年も眠っていた鉱物結晶に残る事象の痕跡をX線計測で探査する試み。X線CTでは1mm四方の視野でサブμmスケールの密度分布を3Dで可視化が可能。また20mm*4mmの視野で5μmの空間分解能が可能なビームラインもある。タイコグラフィと呼ばれる手法では、10μm四方の視野で10nmの密度分布の2D像での可視化が可能。(2)放射光光源であるアンジュレータ由来のAxion Like Particlesを、LSW実験の手法で探索する試み。正規の放射光ビームラインの横に勝手に流れてくるであろうALPsに対し光子への転換部と軟X線検出器を設置する。さらに、放射光計測手法のその他の素粒子事象解析への適用可能性についても議論したい。
P27 : Fujisawa Subaru
(pdf):MeV-Scale Sterile Neutrino Dark Matter and Future Detection
Extending the Standard Model (SM) with right-handed neutrinos can explain the origin of neutrino masses and provide a dark matter candidate. In this poster, we study an extension based on the U(1)_{B-L} gauge symmetry, focusing on MeV-scale sterile neutrino dark matter. We present current observational constraints and discuss possible signals detectable by the future MeV gamma-ray mission, COSI.
P28 : 生井 凌太
(pdf):方向に感度をもつ暗黒物質探索実験に向けた大型ガスTPC開発の現状
NEWAGE実験では、ガスTPCを用いた方向に感度を持つ暗黒物質の直接探索実験を行っている。現在、更なる感度向上に向け検出器の大型化及びモジュール化を計画している。本発表では、大型ガスTPCに搭載予定の2種のモジュール型検出器に対してテストチェンバーを用いて行った性能評価の結果と、大型ガスTPCの運用に向けた今後の展望について述べる。
P29 : 野田 健太
(pdf):CaF2蛍光熱量検出器の開発
ニュートリノレス二重ベータ崩壊(0νββ)は、ニュートリノのマヨラナ性の検証や、レプトン数の非保存といった標準理論を超える物理の探索において、極めて重要な現象である。
CANDLESグループは、48Caを用いた0νββの観測を目指している。48Caは全核種中で最も大きなQ値(4.27 MeV)を有しており、これは自然放射線起源のバックグラウンド(BG)を大幅に低減できるという利点がある。
これまでの先行実験では、0νββのシグナルは検出されておらず、その一因として、使用された検出器のエネルギー分解能の低さが挙げられる。48Caでは、2νββが連続スペクトルを形成し、これが0νββのシングルピークに対するBGとなるため、高い分解能が要求される。
この課題を克服するため、CaF₂結晶を用いた蛍光熱量検出器の開発に取り組んでいる。本報告では、読み出し系センサーの性能評価試験の結果について述べる。
P30 : RITTIRONG ANAWAT
(pdf):Current Status of Laser Isotope Separation (LIS) of 48Ca for Neutrinoless Double Beta Decay
Neutrinoless double beta decay (0$\nu\beta\beta$) is beyond the standard model, which can answer the lepton number violation and the absolute neutrino mass scale. In the CANDLES experiment, $^{48}$Ca is used due to its highest Q-value (4.27 MeV) among double beta decay nuclides. However, the production of the enriched $^{48}$Ca is mandatory due to its low natural abundance of 0.187%. Laser isotope separation (LIS) is being developed. The allowed transition at 422.79 nm laser was used to deflect the target isotope. We performed the test on isotope measurement by the TOF. The separation coefficient was 1.704 ± 0.631 and 1.143 ± 1.107 for $^{44}$Ca and $^{48}$Ca. The current status and prospects for mass production will be presented in this talk.
P31 : 浅田 貴志
(pdf):近年のNEWSdm実験の開発・応用研究の進展
NEWSdm実験は原子核乾板を利用した暗黒物質直接探索実験であり、原子核反跳の方向情報を含めた検出を目指し、グランサッソ地下研究所での実験が行われてきた。
近年の結果から稀事象探索の障壁となる背景事象への理解が進み、対策手法の開発や実験規模のスケールアップへむけた研究がなされている。
一方、特に水素標的をもつ原子核乾板の特性を活かし、異なる暗黒物質モデルを考慮した比較的軽い暗黒物質を目的とした探索や、背景事象となりうるsub-MeV環境中性子の方向情報を含む測定・解析なども進められている。
本発表ではこれらの状況について報告する。
P32 : 篠田 兼伍
(pdf):超新星フォールバックの流体シミュレーション
超新星におけるフォールバックは、中性子星やブラックホール形成やその周りの円盤形成、それに伴う発光現象の起源として考えられてきた。特に興味深いのは、水素外層とヘリウムコアの境界で生じた逆行衝撃波が中心天体に落ち込む現象である。この結果、降着率は著しく増大し、中心天体の質量に影響を与えると考えられている。しかし数値計算において、従来の境界条件では逆行衝撃波が落ち込む際に非物理的な反射波が発生すると報告されている(Ertl et al., 2016)。
今回、この問題を解決するために親星のコアを点源質量と薄い物質に置き換える手法 (Hirai et al. 2020)を用いて境界条件を使用しないフォールバック計算を行うことで、逆行衝撃波による影響を含めたフォールバック降着量の定量的評価に初めて成功した。
本発表では水素外層とフォールバック降着量の定量的な関係を報告する。
P33 : 西田 汐里
(pdf):MIRACLUE実験に向けた新しいAr混合ガスの放電耐性評価
ミグダル効果の観測を目指すMIRACLUE実験では、現在Ar+C₂H₆の混合ガスを用いた測定を行っている。中性子ビームでのArの反跳による観測を目指しているが、C₂H₆中の水素イオンも同様に反跳するためこれが大きなバックグラウンドとなっている。そこで本研究では水素イオンによる影響を低減できると考えられる複数のクエンチャーガスを候補として選定し、それぞれをArとの混合ガスとして用いた場合の放電耐性を評価した。ビーム試験は神戸大学タンデム加速器を用いて行い、今後実施予定である産総研でのビーム試験に向けた最適な混合ガス組成の検討を目的としている。本発表では、その実験結果について述べる。
P34 : 谷口 紘大
(pdf):液体CF₄を用いた暗黒物質直接探索のための検出器の開発
暗黒物質直接探索実験において、液体キセノンをターゲットとした実験が感度を飛躍的に向上させているが、ターゲット原子核のスピンに依存する相互作用を探索する際にはフッ素が有効に働くことが知られている。先行研究ではフッ素を含むCF₄ガスは放射線と相互作用した時にシンチレーション光を出すことから、シンチレータとして放射線検出器に利用可能であるという知見を得た。本研究では、大質量化のためにCF₄ガスを液化させた時のシンチレーション光の発光特性について評価をし、将来的に暗黒物質検出器として実用化することを目指して検出器の開発を行っている。本研究の現状とこれからについて発表する。
P35 : NAKANO Ayumi
(pdf):低質量ダークマター探索に向けた原子核反跳に伴うミグダル効果の観測
近年の暗黒物質探索では,ダークセクターを含む理論に基づきGeV以下の質量領域にも探索範囲が広げられようとしている。しかし,GeV以下の暗黒物質から予測されるsub keVまたはeVの反跳エネルギーは,現行の検出器閾値を下回り探索できない。この課題を克服するため,原子核が運動エネルギーを得た際,極稀に電子の励起や電離が生じる“ミグダル効果”に着目する。ミグダル効果は量子力学の計算から予言され,α崩壊に伴うもの等で観測例があるが,原子核反跳に伴うものは実験的難度から観測例がない。原子核反跳に伴うミグダル効果が存在する場合,核反跳に加えて電子反跳エネルギーも発生することから,暗黒物質探索の実効的な検出エネルギーが増加し感度が上がる。本研究では,中性子ビームを高圧キセノンガス検出器に照射し,ミグダル効果により電子が電離する事象を探索することで原子核反跳に伴うミグダル効果の世界初観測を達成する。
P36 : 初見 聡太
(pdf):AXEL実験:次世代1000L検出器における MPPC波形読み出し回路のファームウェア開発
AXEL実験は高圧キセノンガスTPCを用いたニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊探索実験である。その読み出し回路はMPPCへの電源供給からデータの取得、A/D変換、ダークカレントの監視、PCへのデータ送信といった機能を持ち合わせている。加えて、高いエネルギー分解能を保ったまま高速でデータを取得できるほか、個々のMPPCの電源電圧を微調整することで多数のMPPCの1p.e.ゲインを揃えることも可能である。次世代1000L検出器に向けて開発された回路では、1ボードあたりのMPPC波形読み出しチャンネル数が56chから64chに増加するなどのアップグレードに加え、トランスインピーダンスモードで作動させることで大光量下でもMPPCの非線形性を抑制することが図られた。本講演ではその回路におけるデータ取得とダークカレントの監視の結果を報告する。
P37 : 遠山 和佳子
(pdf):ガス検出器を用いた暗黒物質探索実験における電離によるエネルギー損失測定のためのビーム試験
NEWAGE実験では、ガス検出器を用いて、暗黒物質による原子核反跳の飛跡を検出することで、方向感度を持った暗黒物質探索を行っている。方向感度を持つ探索では原子核の反跳角測定と共にエネルギーを測定することが重要であるが、NEWAGEにおいては電離によるエネルギー損失のみを測定しているため、原子核反跳の全エネルギーとは一致しない。そこで、単一のエネルギーをもつイオンビームをガス検出器に入射させ、電離によるエネルギー損失を測定することで全エネルギーとの対応関係を求めることができる。
先行研究(COMIMACビーム施設)では、ビーム輸送領域とガス領域を分けるために、薄膜に1μmの穴をあけてビームを入射させている。本研究では先行研究にならい、神奈川大のビーム施設において同様の入射孔機構を実現させ、実際に測定を行った。本発表では、ビーム試験で使用する検出器の開発、及び実験結果について報告する。
P38 : 佐々木 優斗
(pdf):神岡地下実験室における環境中性子の長期測定
環境中性子は、二重ベータ崩壊探索や暗黒物質探索などの地下宇宙素粒子実験における主要なバックグラウンドであり、その系統的理解は高感度実験の精度向上に不可欠である。本研究では神岡地下実験室において3He比例計数管による環境中性子の長期測定を行い、時間変動や環境要因との相関を評価している。取得データの信頼性に影響を及ぼしていたデータ収集系の不具合と252Cf線源の影響に対し、信号の二重取得および線源の有無での比較測定により改善を進めている。また、温度・湿度と中性子レートの相関については、中性子レートの偶然誤差を考慮した相関係数の信頼性評価と必要測定期間の見積もりを行っている。本講演ではこれらの進捗を報告する。
P39 : 谷川 秀憲
(pdf):CANDLES実験のための48Ca同位体濃縮の研究:レーザー偏向法に向けたラビ振動の検討
CANDLES実験では、CaF₂結晶に含まれる⁴⁸Caをターゲットとした0νββ崩壊の探索を行なっている。しかし、⁴⁸Caの自然存在比率は0.187%と低いため、検出感度の向上には同位体濃縮が不可欠である。その濃縮に向けて、レーザー偏向による分離法が検討されている。その分離法では、⁴⁸Caの共鳴波長である422.79 nmのレーザーをCa蒸気ビームに横方向から照射し、選択的に⁴⁸Caに光圧を与えるDeflection Laserシステムの構築が考案されている。しかし、従来のシステムでは光子損失が多く、分離効率に限界があった。そこで本研究では、レーザーを高反射ミラーで往復させることで照射効率を高め、さらにラビ振動を利用して吸収・放出を制御することで、運動量の伝達効率の向上と高精度な分離を目指している。本発表では、ラビ振動を利用した光吸収および放出の制御に関する原理検証の進捗について報告する。
P40 : 陳 夏姫
(pdf):超微粒子原子核乾板を用いたMulti Component Boosted Dark Matter 探索に向けた計画
初期宇宙の熱的生成シナリオで予測されている暗黒物質モデルの1つであるWIMPの質量は理論的にはMeV/c2帯まで許されているが、銀河の回転運動で制限される速度程度のWIMPとバリオンの反跳による探索は、従来の手法では質量GeV/c2未満の領域を探索することは難しい。近年、暗黒物質が対消滅、対生成する際の質量差により加速される機構のMulti Component Boosted Dark Matter(MCBDM) が提言されている。
超微粒子原子核乾板(NIT)は標的核子に水素を含むため、低エネルギー陽子の飛跡検出が可能な唯一無二の検出器であり、バリオンを標的にしたMeV/c2スケールの軽い暗黒物質探索を行うことに適している。
本講演では、未開拓の暗黒物質モデルであるMCBDM探索に向けた理論モデルの議論と、NITを用いた実験の計画についての発表を行う。
P41 : 染谷 一輝
(pdf):暗黒物質直接方向探索実験における超微粒子原子核乾板の現像液での飛跡輝度上昇効果による低エネルギー陽子検出性能の検証
近年、加速されたMeVスケールの暗黒物質が注目されており、特にMulti-Component Boosted Dark Matterのように階層性を持つモデルが議論されている。ダークマター同士の対消滅と別質量成分の対生成により、運動エネルギーを持つ暗黒物質が銀河中心からほぼ単色で到来し、陽子との弾性散乱を通じ高い反跳エネルギーを与えると予想される。NEWSdm実験では超微粒子原子核乾板を用いた方向感度を持つ検出を目指しているが、AgBr結晶の微粒子化により飛跡の光学輝度が低下し、検出効率の低下が課題であった。本研究では輝度上昇効果を持つ現像液を用い、乾板に低エネルギー陽子を照射して方向感度と角度分解能を有する飛跡の検出効率を評価し、その結果を報告する。
P42 : 城 壮一郎
(pdf):現実的な中性子星構造を用いた混合磁場の安定条件
強磁場中性子星 (マグネター) の内部には、表面付近の双極子磁場 (10^{14-15} G) より強い、最大 10^{16} G に達する磁場が存在する可能性が指摘されている。安定性の観点から、マグネター内部の磁場はトロイダル成分とポロイダル成分が共存する構造をとるとされているが、その具体的構造や安定条件は十分に解明されていない。
磁場の安定には星の密度成層が重要な役割を果たすが、先行研究は密度と圧力を簡略化したモデルの解析にとどまっている。本研究では、原子核物理に基づく現実的な状態方程式を用いて中性子星内部構造を構築し、その構造のもとで先行研究と同様の手法によりトロイダル・ポロイダル混合磁場の安定性を再評価した。その結果、現実的な内部構造が磁場の安定性に与える影響を定量的に示した。
P43 : 金井 敦哉
(pdf):密度汎関数法によるクーロンポテンシャルを用いた0ν/2ν二重ベータ崩壊および二重電子捕獲等における位相空間因子の計算
ニュートリノはマヨラナ粒子である可能性があり、このときニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊(0νββ)が起こりうる。この崩壊の半減期を測定し,位相空間因子と核行列要素を理論計算できれば,有効ニュートリノ質量を求めることができる。
位相空間因子は放出された電子の波動関数からなる。先行研究では、原子核の有限体積効果とThomas-Fermi方程式に基づく電子遮蔽効果を含めて放出電子のDirac方程式を解くことによって位相空間因子を計算している。
我々は密度汎関数理論(DFT)を用いて位相空間因子の精密計算を行った。具体的には、Skyrme型密度汎関数を用いた原子核DFTによって得られる原子核の電荷分布や、電子DFTに基づく電子遮蔽効果の2つが位相空間因子に及ぼす影響を調べた。本発表では、原子核/電子DFTに基づく原子核の電荷分布による0ν/2ν位相空間因子の計算結果を紹介する。
P44 : 石原 大樹
(pdf):酸化分解反応を利用した超微粒子原子核乾板のノイズ低減に関する研究
超微粒子原子核乾板(NIT)は、暗黒物質直接探索用に開発された検出器である。荷電粒子が臭化銀結晶を貫通し、電子と格子間銀イオンが結合することで潜像核を形成する。これに現像処理を行い、潜像核を成長させることで現像銀を生成し、光学顕微鏡で観察すると、荷電粒子が通った跡に沿って現像銀が出来るので、これを飛跡と呼んで解析を行っている。NITの課題として、Fogの発生がある。Fogは現像時に偶発的に発生する非物理事象であり、密度が高いと偶発的に現像銀が並び、荷電粒子起因の飛跡と区別がつかなく、解析の妨げになってしまう。そこで、減力処理処理と呼ばれる酸化反応を用いることを提案する。荷電粒子とFogの現像銀の構造が異なることを仮定し、Fogが先に消えることを期待している。現在は、原理実証に成功し、暗黒物質直接探索に向けて中性子線源を用いて減力処理の最適化を行っている。今回はその経過を発表する。
P45 : 藤川 皓生
(pdf):XLZD実験に向けた背景事象低減のための液体キセノン密閉容器の開発
液体キセノンを用いた暗黒物質直接探索実験では、暗黒物質が液体キセノンと弾性散乱する極めて稀な事象の観測を目指している。この観測における主な背景事象は、自然放射性物質の崩壊であり、特に 222Rn(ラドン)の娘核の崩壊で生じるβ線が支配的である。XENONnT実験の次世代検出器では、222Rn由来の背景を太陽ニュートリノ背景が支配的となるレベルまで削減することを目指している。しかし、222Rnは検出器部材や配線ケーブルなどから常時放出されるため、有感領域を低放射性物質で密閉し、222Rnを遮蔽する容器の導入が提案されている。このため、液体キセノン環境における密閉容器の222Rn遮蔽性能評価実験を実施した。その結果、ガスキセノン環境では密閉されていたが、液体キセノン環境ではリークが確認された。本発表では、液体キセノン環境下での試験結果と、次回試験に向けた密閉容器の改良計画について報告する。