文部科学省 科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A)

極稀事象で探る宇宙物質の起源と進化
新たな宇宙物質観創生のフロンティア

計画研究 B01:強磁場とマイクロ波・超伝導技術が切り拓く,暗黒物質アクシオン
探索のフロンティア

 本研究では、暗黒物質アクシオン探索を行います。アクシオンは、WIMPs (Weakly Interacting Massive Particles、弱く相互作用する重粒子)と並んで、暗黒物質の最有力候補です。アクシオンは質量が軽く、暗黒物質として存在する場合には、「波動」として振る舞っています。暗黒物質は、WIMPsの様な「粒子」なのか、それともアクシオンのような「波動」なのか?本研究は、理論研究(E01)と協力した暗黒物質アクシオンの直接探索によって、この謎に挑戦します。
 研究の第一段階では、東北大学ニュートリノ科学研究センターが所有する既存の装置を用いて、本格的な探索実験を日本で初めて実施します。探索質量はこれまで探索の行われていない高い周波数とし、理論的に予測されているにも関わらず未探索の領域(Trapped Misalignment領域)を中心に、大発見を狙います。第二段階では、アクシオンのモデルの中でも最も有力で、QCDアクシオンと呼ばれる領域を探索し、さらにアクシオン探索のベンチマークであるKSVZアクシオンモデルにに到達する感度での探索を目指します。このアクシオンは非常に信号が弱いため、信号の増強と雑音の低減が必要です。信号の増強のために、大型・強力なマグネット(担当:高田)を用いて、新開発のマイクロ波共振空胴(岸本)を開発・研究します。また雑音の低減では、ヘリウム超流動の利用(高田)によって光子雑音を低減し、さらに、超伝導技術を利用した極低ノイズアンプの開発(沓間)を行います。これらを1つにまとめ、より高感度のアクシオン探索を行い、暗黒物質素粒子の謎を解明する研究を行います。

メンバー

代表者

岸本康宏 Yasuhiro, KISHIMOTO


東北大学 教授
研究統括、検出器の作成・管理運営


分担者

沓間弘樹 Hiroki, KUTSUMA


東北大学 助教
超低ノイズアンプ開発


高田卓 Suguru, TAKADA


核融合科学研究所 助教
低温技術、高磁場・磁場遮蔽


協力者

小川泉 Izumi, OGAWA


福井大学 教授
環境のデータ収集


時安敦史 Atsushi, TOKIYASU


東北大学 助教
データ解析


大塚朋廣 Tomohiro, OTSUKA


東北大学 准教授
超低ノイズアンプ開発


黒澤俊介 Shunsuke, KUROSAWA


東北大学 准教授
マイクロ波用高純度セラミックス

はじめに

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